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2026年10月14日水曜日

OpenAI Dotsに話しかけてOracle APEXのアプリケーションを作成する #JoelKallmanDay

2026年9月29日にOpenAIより発表されたDotsを使って、Oracle APEXのアプリケーションを作成してみます。手元のiPhoneに話しかけることで、開発するアプリケーションを指示します。

手元のiPhoneから作成したアプリケーションにアクセスするために、Oracle APEXのアプリケーション開発と実行にAutonomous AI Databaseを使用します。Always Freeを使用するため費用はかかりませんが、2026年10月14日の時点ではOracle APEXは最新バージョンではなく26.1になります。

OpenAIのDotsを使用するにはProプラン以上が必要です。Pro/100でも一ヶ月あたり16,800円なので、個人で利用するにはハードルが高いです。

OpenAI Dotsではクラウドコンピューターという、クラウド上の仮想マシンのような環境が提供されています。本来であれば、このクラウドコンピューターにインストールされているブラウザやJava(21.0.12.1がインストールされていました)に加えて、SQLclをインストールすればAPEXアプリケーションを開発するホストとして使用できるはずでした。


実際にはoracle.comドメインに接続ができなかったので、APEXアプリケーションを開発するホストとして使用することは諦めました。


設定のクラウドコンピューターにウェブサイトの権限があり、こちらの設定に問題があるのかもしれませんが、原因は不明です。openai.comやmicrosoft.comには接続できています。


別件ですが、Codex CloudもOracle APEXのアプリケーション開発に使用できませんでした。SQLclがAutonomous AI Databaseに接続する際にTCPS接続が使用されますが、どうもCodex Cloudで許可されているアウトバウンド通信はHTTPSに限定されているように見えます。OpenAIのドキュメントに制限事項として明記されていないようですが、おそらくそうだろうと思って、こちらの使用も諦めています。

そのため、ローカルのMacbookにAPEXアプリケーションを作成するCodexのプロジェクトを作成し、それに作成したdotから指示を与えるように環境を構成しました。

以下より、その環境の準備とAPEXアプリケーションの作成までの手順を紹介します。

Always FreeのAutonomous AI Databaseのインスタンスが作成済みとします。また、手元のMacbookにはChatGPTのデスクトップアプリとSQLclがインストール済みとします。

作業ディレクトリとしてapexapp-with-dotsを作成し移動します。

mkdir apexapp-with-dots
cd apexapp-with-dots

Documents % mkdir apexapp-with-dots

Documents % cd apexapp-with-dots 

apexapp-with-dots % 


Autonomous AI Databaseへの接続に使用するウォレットをダウンロードして配置します。本記事ではウォレットとしてWallet_APEXDEV.zipを使用します。

SQLclでAPEXワークスペースのデフォルト・パーシング・スキーマに接続し、接続をadb_apexdevとして保存します。

SQLclを起動します。

sqlcl -cloudconfig Wallet_APEXDEV.zip /nolog

apexapp-with-dots % sqlcl -cloudconfig Wallet_APEXDEV.zip /nolog

     

SQLcl: 水 10月 14 14:24:11 2026のリリース26.3 Production


Copyright (c) 1982, 2026, Oracle.  All rights reserved.


SQL> 


本記事の構成では、接続先のTNS名はapexdev_low、接続先のスキーマはWKSP_APEXDEVとして構成されています。

conn -save adb_apexdev -savepwd wksp_apexdev@apexdev_low

SQL> conn -save adb_apexdev -savepwd wksp_apexdev@apexdev_low

パスワード (**********?) **************

名前: adb_apexdev

接続文字列: apexdev_low

ユーザー: wksp_apexdev

パスワード: ******

oracle.net.wallet_location: (SOURCE=(METHOD=FILE)(METHOD_DATA=(DIRECTORY=${TNS_ADMIN})))

TNSNAMES.ORA: /Users/ynakakos/.dbtools/connections/2TJ8PbLBjDtiBm_gDdx9Tg/tnsnames.ora

TNS Descriptor: apexdev_low = (description=(retry_count=20)(retry_delay=3)(address=(protocol=tcps)(port=1522)(host=adb.ca-toronto-1.oraclecloud.com))(connect_data=(service_name=ge15e7ebe13fd7f_apexdev_low.adb.oraclecloud.com))(security=(ssl_server_dn_match=yes)))

接続しました.

SQL> 


以上で、接続先としてadb_apexdevが保存されました。

一旦切断し、再度adb_apexdevを指定して接続します。

sqlcl -name adb_apexdev

SQL> exit

Oracle AI Database 26ai Enterprise Edition Release 23.26.4.1.0 - Production

Version 23.26.4.1.0から切断されました

apexapp-with-dots % sqlcl -name adb_apexdev

     

SQLcl: 水 10月 14 14:27:36 2026のリリース26.3 Production


Copyright (c) 1982, 2026, Oracle.  All rights reserved.


接続先:

Oracle AI Database 26ai Enterprise Edition Release 23.26.4.1.0 - Production

Version 23.26.4.1.0


SQL> 


Codexが参照できるようにOracle DatabaseとAPEXlangのスキルをインストールします。以下はMicrosoft APM(Agent Package Manager)を使用した例です。

apm install oracle/skills/apex --target codex
apm install oracle/skills/db --target codex
apm deps list


apexapp-with-dots % apm install oracle/skills/apex --target codex

[*] Created apm.yml

[i] Targets set: codex (persisted to apm.yml)

[*] Validating 1 package...

[+] oracle/skills/apex

[*] Updated apm.yml with 1 new package(s)

[>] Installing 1 new package...

[>] Resolving skills-apex...

[i] Targets: codex  (source: --target flag)

  [+] github.com/oracle/skills/apex #default @014cdb29

  |-- Skill integrated -> .agents/skills/

[i] Added apm_modules/ to .gitignore

  [!] 1 dependency unpinned: oracle/skills -- add #tag or #sha to prevent drift

  [i] Skipped inactive experimental resolver for target 'copilot-cowork' during lockfile 

reconciliation.

  [i] Skipped inactive experimental resolver for target 'copilot-app' during lockfile 

reconciliation.

[*] Installed 1 APM dependency in 15.8s.

apexapp-with-dots % apm install oracle/skills/db --target codex

[*] Validating 1 package...

[+] oracle/skills/db

[*] Updated apm.yml with 1 new package(s)

[>] Installing 1 new package...

[>] Resolving skills-db...

[i] Targets: codex  (source: --target flag)

  [+] github.com/oracle/skills/db #default @014cdb29

  |-- Skill integrated -> .agents/skills/

  [!] 1 dependency unpinned: oracle/skills -- add #tag or #sha to prevent drift

  [i] Skipped inactive experimental resolver for target 'copilot-cowork' during lockfile 

reconciliation.

  [i] Skipped inactive experimental resolver for target 'copilot-app' during lockfile 

reconciliation.

[*] Installed 1 APM dependency in 11.5s.

ynakakos@Yujis-MacBook-Pro apexapp-with-dots % apm deps list

                                 APM Dependencies (Project)                                 

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━┳━━━━━━━━┳━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━┳━━━━━━━━┳━━━━━━━┓

┃ Package            ┃ Version ┃ Source ┃ Prompts ┃ Instructions ┃ Agents ┃ Skills ┃ Hooks ┃

┡━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╇━━━━━━━━━╇━━━━━━━━╇━━━━━━━━━╇━━━━━━━━━━━━━━╇━━━━━━━━╇━━━━━━━━╇━━━━━━━┩

│ oracle/skills/apex │ unknown │ github │    -    │      -       │   -    │   1    │   -   │

│ oracle/skills/db   │ unknown │ github │    -    │      -       │   -    │   1    │   -   │

└────────────────────┴─────────┴────────┴─────────┴──────────────┴────────┴────────┴───────┘

apexapp-with-dots % 


OpenAIのデスクトップアプリよりプロジェクトを作成します。ソースフォルダーとして、これまで構成してきたapexapp-with-dotsを割り当てます。

プロジェクトの名前はDotsによるアプリ作成としています。


それでは、このCodexのプロジェクトに指示を出すdotを作成します。

OpenAIのデスクトップアプリのあなたのdotをクリックします。


dotの作成プロセスが始まります。続けるをクリックします。続けてプラグインの組み込みを案内されますが、今回の用途では不要なのでスキップします。


dotが作業できる場所として、お使いのローカルコンピューターをオンにします。OpenAIが提供してくれるあなたのdotのコンピューターでは、APEXアプリケーションを開発できませんでした。

続けるとdotが作成されます。


dotが作成され、ローカルコンピューターに接続されます。


ローカル・コンピューターへの設定として、ChatGPTアプリが起動しているときはMacをスリープさせないといった項目があったはずなのですが、設定画面を見つけることができなかったため割愛します。スリープを禁止していないと、iPhoneからdotに指示を出している間に、Codexが動いているMacがスリープすることがあります。

dotに対して指示します。最初にCodexのプロジェクトにタスクを作成し、データベースへの接続確認までを行います。

「これからOracle APEXのアプリケーションを作成します。Codexのプロジェクト「DotsによるAPEXアプリ作成」にAutonomous AI Databaseにアプリを作成するタスクを開始して。」

「APEXのワークスペースへの接続には接続名adb_apexdevを使用してsqlcl -name adb_apexdevで接続してください。」


SQLclでデータベースに接続できたので、APEXアプリケーションを開発する準備はできています。

作成したdotは、同じアカウントでサインインしているiPhone上のOpenAIのアプリと共有されています。

音声による指示は、右上の電話のアイコンをクリックして行います。アイコンの古めかしさと、クリックすると呼び出し音が鳴ることに少々驚きました。


最初は本当に電話をかけていると思って、通話を終了してしまいました。


音声で「Sales Historyを調べて、結果をチャットに返してほしい」と依頼しています。以下はMacのデスクトップアプリでのスクリーンショットですが、iPhoneにも同じ内容が表示されています。


電話にてSales Historyのサンプルデータを参照して、地域別のレポートや製品別のチャートを作成するように指示をしました。なぜか通話が途中で切られてしまうので、なんども電話をし直しています。最後にAPEXアプリケーションができたらURLをチャットに送るように指示しています。

ChatGPTの音声モードと異なり、自分が話した内容の文字起こしが表示されないようです。若干、不便です。


dotからの通知を有効にしていると、作業が終わったらiPhoneやMacに通知されます。

通知を受け取ってiPhoneのChatGPTアプリを確認します。作成されたアプリにサインインするURLが返されていました。


返されたリンクをクリックし、スマホからAPEXアプリケーションにサインインします。最初にサインインの画面が開きます。


サインインすると、APEXアプリケーションにアクセスできます。


期待したAPEXアプリと異なるようであれば、dotに電話をかけて修正を依頼します。

概ね以上でAPEXアプリケーションは作成できました。

Codexプロジェクトに作成されたタスクがサイドメニューに現れなかったり、dotとの通話がプチプチ切れたり、Computer Useの利用の承認を永遠に求められたり、なかなか一筋縄ではいかない部分もありましたが、当初の目的である、OpenAI Dotsに話しかけてOracle APEXのアプリケーションを作成することはできました。

今回の記事は以上になります。

完

2026年9月2日水曜日

Oracle Databaseを操作するiOSアプリをOracle Backend for FirebaseとOpenAI Codexで作成する

Oracle Databaseに保存されているデータを操作するiOSアプリを、Oracle Backend for Firebase(Fusabase)とOpenAI Codexを使って作成します。本記事の著者もそうですが、技術者としての背景がバックエンドだったりDBAだったりすると、iOSアプリやAndroidといったモバイル・アプリケーションの作成はハードルが高く、取り組むのに躊躇してしまいます。

本記事では、Oracle Backend for Firebase(Fusabase)をiOSアプリケーションに組み込んで、Oracle Databaseを操作するアプリケーションを作成してみます。iOSアプリケーションはSwiftで記述しますが、コードはすべてOpenAI Codexが生成します。

(同様の手順でCodexで生成したAndroidとWebアプリについて、記事の末尾に追記しました。)

OpenAI Codexは以下のようなiOSアプリケーションを作成しました。


Oracle APEXのサンプル・データセットに含まれるプロジェクト・データを、本アプリケーションが使用するデータセットとして使用しています。


サンプル・データセットのプロジェクト・データはすべてリレーショナル・データベースの表(複数の列を持つ行の集合)です。Oracle Backend for Firebase(Fusabase)では、Relational to collection mappingを定義して、これらの表をコレクション(JSONドキュメントの集合)としてアクセスできるようにします。

Codexにアプリケーションの要件として、以下の文書を与えています。


スキーマ定義として与えているfusabase-schema.mdは以下です。この文書は、Codexにfusabase-cliを使ってコレクションにアクセスさせて生成させています。


スキーマ定義の本文にinspect_fusabase_schema.shによりと記載されている、fusabase-cliを再帰的に呼び出し、コレクションやサブコレクション、およびそれらに含まれているドキュメントを取り出しているスクリプトです。こちらもCodexで生成しています。


Codexに要件を与えてiOSアプリケーションを生成するまでの準備を含め、以下の作業を行なっています。
  1. APEXのサンプル・データセットをOracle Backend for Firebaseのプロジェクトを構成したスキーマにインストールした上で、APEXのサンプル・アプリケーションを作成します。
  2. SQL Developer Extension for VS Codeを使って、インストールされたサンプル・スキーマのER図を作成し親子関係を確認します。Oracle Backend for FirebaseのRelational to collection mappingでは、サブ・コレクションの親コレクションは1つだけです。表の参照制約では参照先となる表(親)はいくつあっても良いため、サブ・コレクションの親コレクションは定義されている参照制約だけでは決められません。
  3. Oracle Backend for Firebaseのコンソールより、ステップ2で決めたRelational to collection mappingを定義します。
  4. Relational to collection mappingが定義されると、コレクションに対応するJSON Duality Viewが生成されます。生成されたJSON Duality Viewはトリガーによるサーバー側の更新を考慮せずにメタデータETAGを生成するため、ドキュメントの更新時に同時実行制御のエラーが発生します(ORA-42698: Cannot updateJSON Relational Duality View, Concurrent modification detected)。そのため、トリガーでアップデートされる列をGENERATED USINGで囲んでETAGの計算対象外にするよう、JSON Duality Viewの定義を変更します。
  5. 以上の準備を行なった後に、iOSアプリケーションを作成するフォルダをプロジェクトのフォルダとして、Codexのプロジェクトを作成します。プロジェクトのフォルダにアプリケーションの要件を配置します。
  6. 定義されたRelational to collection mappingにfusabase-cliでアクセスし取り出したコレクションのデータを元にして、参照するスキーマ情報を記述したファイルをプロジェクトのフォルダ以下に生成します。
  7. CodexにiOSアプリケーションの要件とスキーマ情報を元にして、iOSアプリケーションを生成するよう指示します。
  8. 生成されたiOSアプリケーションをXcodeで開き、アプリケーションを実行します。思った動きと違っていたり、こうして欲しいという要求をCodexに伝えてアプリケーションを改良します。
以下より、それぞれの作業について紹介します。


サンプル・データセットのインストール



作業環境は以前の記事「Oracle APEXが構成済みのデータベースにOracle Backend for Firebaseを構成する」にそって作成済みで、Oracle Backend for Firebaseのプロジェクトが構成されたスキーマがAPEXのワークスペースに割り当てられていることを前提とします。

APEXワークスペースへのスキーマの割り当ては、管理サービスのワークスペースの管理に含まれる、ワークスペースとスキーマの割当ての管理から実施します。


APEXワークスペースとしてAPEXDEV、Oracle Backend for Firebaseのプロジェクトが構成されているスキーマがTESTUSERである場合、ワークスペースがAPEXDEV、スキーマがTESTUSERの行が存在しています。


この状態でAPEXのワークスペースにサインインし、スキーマTESTUSERにサンプル・データセットをインストールします。

ユーティリティのサンプル・データセットを開きます。


プロジェクト・データのインストールをクリックします。


サンプル・データセットの管理のダイアログが開きます。

データセットのインストール先のスキーマとして、Oracle Backend for Firebaseのプロジェクトが構成されているスキーマを選択します。今回の例ではTESTUSERです。

Oracle Backend for FirebaseのRelational to collection mappingでは、対象がプロジェクトが構成されているスキーマに存在している表に限定されています。そのため、Oracle Backend for Firebaseでアクセスする表は、スキーマAPEXDEVに配置できません。

次へ進みます。


データセットのインストールを実行します。


サンプル・データセットがスキーマTESTUSERにインストールされます。そのデータセットを扱うAPEXアプリケーションを作成します。

アプリケーションの作成を実行します。


アプリケーション作成ウィザードが開きます。機能はすべて不要なので、すべてチェックをクリックして、チェックを外します。

以上でアプリケーションを作成します。

作成するアプリケーションには、表EBA_PROJECT_TASK_TODOS、EBA_PROJECT_TASK_LINKS、EBA_PROJECT_COMMENTSの一覧と編集を行うページが含まれていません。これらは必要に応じて追加することとし、本記事の手順には含めません。


アプリケーションDemonstration - Projectsが作成されます。


アプリケーションを実行し、Tasksのファセット検索のページを表示します。インストールされたサンプル・データセットの内容を確認できます。



SQL Developer Extension for VS Codeによるスキーマの確認



SQL Developer Extension for VS CodeのER図描画機能を使って、インストールされたサンプル・データセットの構造を確認します。

Oracle Backend for Firebaseのプロジェクトが構成されたスキーマへの接続を作成します。その作成された接続(以下のスクリーンショットではtestuser)の上でコンテキスト・メニューを表示し、Open Diagramを実行します。


左のツリーより、今回の対象である表EBA_PROJECTS、EBA_PROJECT_COMMENTS、EBA_PROJECT_MILESTONES、EBA_PROJECT_STATUS、EBA_PROJECT_TASKS、EBA_PROJECT_TASK_TODOS、EBA_PROJECT_TASK_LINKSの7つの表を選択します。


選択した表をDiagramまでドラッグし、Shiftキーを押し、そしてShiftキーを押したままDiagram上でドロップします。

ドロップした表のER図が生成されます。


見やすくなるように、表の配置を調整します。


スキーマの構造を見ると、表EBA_PROJECT_TASK_TODOSおよびEBA_PROJECT_TASK_LINKSにはそれぞれ、EBA_PROJECTSとEBA_PROJECT_TASKSを対象とした外部キー(列PROJECT_IDとTASK_ID)が定義されています。TODOおよびLinkは、同一プロジェクトの異なるタスクに付け替えることを可能にしているのかもしれませんが、Relational to collection mappingではどちらかを親コレクションとして選択する必要があります。

今回は表EBA_PROJECT_TASKSに表EBA_PROJECTSへの外部キーが定義されていることより、表EBA_PROJECT_TASK_TODOS、EBA_PROJECT_TASK_LINKSの親はEBA_PROJECT_TASKSとします。

表EBA_PROJECTSは表EBA_PROJECT_STATUSを参照していますが、親コレクションとはいえないので、それぞれ独立したコレクションとして定義します。

以上より、コレクションとサブコレクションは以下のように設定します。
  • eba_projects
    • eba_project_milestones
    • eba_project_comments
    • eba_project_tasks
      • eba_project_task_todos
      • eba_project_task_links
  • eba_project_status


Relational to collection mappingの定義



Oracle Backend for Firebaseのコンソールを開きます。

DatabaseのRelational to collection mappingのタブを選択し、Link existing tablesをクリックします。


Link to existing relational tableにて、リレーショナル表を元にしたコレクションを作成します。

コレクションとサブ・コレクションの関係を間違えないように、親となる表にあるサブ・コレクションの追加ボタンをクリックし、サブ・コレクションとなる表を追加します。
  • 最上位のコレクションであるeba_projectsとeba_project_statusはAdd tableをクリックして追加します。
  • eba_project_milestones、eba_project_comments、eba_project_tasksは、eba_projectsのサブ・コレクションの追加ボタンをクリックして追加します。
  • eba_project_task_todos、eba_project_task_linksは、eba_project_tasksのサブ・コレクションの追加ボタンをクリックして追記します。
7つの表をコレクションとして登録して、Saveをクリックします。


リレーショナル表がコレクションとして作成されます。Expand allをクリックして、作成されたコレクションの階層が想定通りになっているかを確認します。




JSON Duality Viewの更新



Relational to collection mappingにより作成されたJSON Duality Viewの定義を確認します。Relational to collection mappingにより作成されたコレクションは、プロジェクトが構成されているスキーマに作成された表BAAS_COLLECTION_METADATAに定義されています。

select table_name, path from baas_collection_metadata where table_type = 'rel';

SQL> select table_name, path from baas_collection_metadata where table_type = 'rel';


TABLE_NAME                     PATH                                                                    

______________________________ _______________________________________________________________________ 

EBA_PROJECT_COMMENTS$BAAS      /eba_projects/_docId/eba_project_comments                               

EBA_PROJECT_MILESTONES$BAAS    /eba_projects/_docId/eba_project_milestones                             

EBA_PROJECT_TASKS$BAAS         /eba_projects/_docId/eba_project_tasks                                  

EBA_PROJECT_TASK_LINKS$BAAS    /eba_projects/_docId/eba_project_tasks/_docId/eba_project_task_links    

EBA_PROJECT_TASK_TODOS$BAAS    /eba_projects/_docId/eba_project_tasks/_docId/eba_project_task_todos    

EBA_PROJECT_STATUS$BAAS        /eba_project_status                                                     

EBA_PROJECTS$BAAS              /eba_projects                                                           


7行が選択されました。 


SQL> 


TABLE_NAMEとなっていますが、PATHでアクセスされるコレクションの実体となるJSON Duality Viewの名前です。

このJSON Duality Viewを作成したDDLは、列CONDITIONに記載されています。

select condition from baas_collection_metadata where table_type = 'rel';

SQL> select condition from baas_collection_metadata where table_type = 'rel';


CONDITION                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

____________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________ 

create or replace json relational duality view "EBA_PROJECT_COMMENTS$BAAS" as  select json {'project_id':"PROJECT_ID", 'comment_text':"COMMENT_TEXT", 'created':"CREATED", 'created_by':"CREATED_BY", 'updated':"UPDATED", 'updated_by':"UPDATED_BY", 'OID' : SYS_MAKE_OID_FROM_PK("ID"),'_id':"ID",'parent_oid': GENERATED USING ( select '/' ||SYS_MAKE_OID_FROM_PK("EBA_PROJECTS"."ID") from "EBA_PROJECTS" where "EBA_PROJECTS"."ID" = "EBA_PROJECT_COMMENTS"."PROJECT_ID")} from "EBA_PROJECT_COMMENTS" with insert delete update                                                                                                                                                                                                                                                                                       

create or replace json relational duality view "EBA_PROJECT_MILESTONES$BAAS" as  select json {'project_id':"PROJECT_ID", 'name':"NAME", 'description':"DESCRIPTION", 'due_date':"DUE_DATE", 'created':"CREATED", 'created_by':"CREATED_BY", 'updated':"UPDATED", 'updated_by':"UPDATED_BY", 'OID' : SYS_MAKE_OID_FROM_PK("ID"),'_id':"ID",'parent_oid': GENERATED USING ( select '/' ||SYS_MAKE_OID_FROM_PK("EBA_PROJECTS"."ID") from "EBA_PROJECTS" where "EBA_PROJECTS"."ID" = "EBA_PROJECT_MILESTONES"."PROJECT_ID")} from "EBA_PROJECT_MILESTONES" with insert delete update                                                                                                                                                                                                                                             

create or replace json relational duality view "EBA_PROJECT_TASKS$BAAS" as  select json {'project_id':"PROJECT_ID", 'milestone_id':"MILESTONE_ID", 'name':"NAME", 'description':"DESCRIPTION", 'assignee':"ASSIGNEE", 'start_date':"START_DATE", 'end_date':"END_DATE", 'cost':"COST", 'is_complete_yn':"IS_COMPLETE_YN", 'created':"CREATED", 'created_by':"CREATED_BY", 'updated':"UPDATED", 'updated_by':"UPDATED_BY", 'OID' : SYS_MAKE_OID_FROM_PK("ID"),'_id':"ID",'parent_oid': GENERATED USING ( select '/' ||SYS_MAKE_OID_FROM_PK("EBA_PROJECTS"."ID") from "EBA_PROJECTS" where "EBA_PROJECTS"."ID" = "EBA_PROJECT_TASKS"."PROJECT_ID")} from "EBA_PROJECT_TASKS" with insert delete update                                                                                                                         

create or replace json relational duality view "EBA_PROJECT_TASK_LINKS$BAAS" as  select json {'project_id':"PROJECT_ID", 'task_id':"TASK_ID", 'link_type':"LINK_TYPE", 'url':"URL", 'application_id':"APPLICATION_ID", 'application_page':"APPLICATION_PAGE", 'description':"DESCRIPTION", 'created':"CREATED", 'created_by':"CREATED_BY", 'updated':"UPDATED", 'updated_by':"UPDATED_BY", 'OID' : SYS_MAKE_OID_FROM_PK("ID"),'_id':"ID",'parent_oid': GENERATED USING ( select '/' ||SYS_MAKE_OID_FROM_PK("EBA_PROJECTS"."ID") || '/' || SYS_MAKE_OID_FROM_PK("EBA_PROJECT_TASKS"."ID") from "EBA_PROJECTS","EBA_PROJECT_TASKS" where "EBA_PROJECTS"."ID" = "EBA_PROJECT_TASKS"."PROJECT_ID" and "EBA_PROJECT_TASKS"."ID" = "EBA_PROJECT_TASK_LINKS"."TASK_ID")} from "EBA_PROJECT_TASK_LINKS" with insert delete update    

create or replace json relational duality view "EBA_PROJECT_TASK_TODOS$BAAS" as  select json {'project_id':"PROJECT_ID", 'task_id':"TASK_ID", 'name':"NAME", 'description':"DESCRIPTION", 'assignee':"ASSIGNEE", 'is_complete_yn':"IS_COMPLETE_YN", 'created':"CREATED", 'created_by':"CREATED_BY", 'updated':"UPDATED", 'updated_by':"UPDATED_BY", 'OID' : SYS_MAKE_OID_FROM_PK("ID"),'_id':"ID",'parent_oid': GENERATED USING ( select '/' ||SYS_MAKE_OID_FROM_PK("EBA_PROJECTS"."ID") || '/' || SYS_MAKE_OID_FROM_PK("EBA_PROJECT_TASKS"."ID") from "EBA_PROJECTS","EBA_PROJECT_TASKS" where "EBA_PROJECTS"."ID" = "EBA_PROJECT_TASKS"."PROJECT_ID" and "EBA_PROJECT_TASKS"."ID" = "EBA_PROJECT_TASK_TODOS"."TASK_ID")} from "EBA_PROJECT_TASK_TODOS" with insert delete update                                           

create or replace json relational duality view "EBA_PROJECT_STATUS$BAAS" as  select json {'code':"CODE", 'description':"DESCRIPTION", 'display_order':"DISPLAY_ORDER", 'created':"CREATED", 'created_by':"CREATED_BY", 'updated':"UPDATED", 'updated_by':"UPDATED_BY", 'OID' : SYS_MAKE_OID_FROM_PK("ID"),'_id':"ID",'parent_oid':'_docId'} from "EBA_PROJECT_STATUS" with insert delete update                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              

create or replace json relational duality view "EBA_PROJECTS$BAAS" as  select json {'status_id':"STATUS_ID", 'name':"NAME", 'description':"DESCRIPTION", 'project_lead':"PROJECT_LEAD", 'budget':"BUDGET", 'completed_date':"COMPLETED_DATE", 'created':"CREATED", 'created_by':"CREATED_BY", 'updated':"UPDATED", 'updated_by':"UPDATED_BY", 'OID' : SYS_MAKE_OID_FROM_PK("ID"),'_id':"ID",'parent_oid':'_docId'} from "EBA_PROJECTS" with insert delete update                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             


7行が選択されました。 


SQL> 


このDDLに含まれるトリガーで更新される監査列(CREATED、CREATED_BY、UPDATED、UPDATED_BY)と、念の為parent_oid: '_docId'となっている列定義をGENERATED USINGで囲みETAGの計算対象外とします。トークンがもったいないとも思いましたが、これも上記の検索結果をファイルにスプールして、Codexに指示して監査列と_docIdをGENERATED USINGで囲ませています。

修正したDDLは以下になります。

このDDLをOracle Backend for Firebaseのプロジェクトを構成したスキーマで実行します。

SQL> @json-duality-views.sql


View "EBA_PROJECT_COMMENTS$BAAS"は作成されました。



View "EBA_PROJECT_MILESTONES$BAAS"は作成されました。



View "EBA_PROJECT_TASKS$BAAS"は作成されました。



View "EBA_PROJECT_STATUS$BAAS"は作成されました。



View "EBA_PROJECTS$BAAS"は作成されました。



View "EBA_PROJECT_TASK_LINKS$BAAS"は作成されました。



View "EBA_PROJECT_TASK_TODOS$BAAS"は作成されました。


SQL> 




スキーマ情報の生成



以前の記事「Oracle Backend for FirebaseのCLIインターフェースfusabase-cliを使用する」にそって、fusabase-cliを実行できる環境を作成します。

前掲のinspect_fusabase_schema.shを実行します。

このスクリプトは以下のプロンプトを与えてCodexに作成させたものです。プロンプトに例となるgetコマンドやqueryコマンドを与えていますが、すでにコレクションの内容を取り出すスクリプトが作成できているため、これらの内容については説明を割愛します。

スクリプトinspect_fusabase_schema.shはbashで実行します。zshでは動作しないようです。デフォルトでは各コレクションから3件ずつドキュメントを取得します。もっとサンプルを増やしたい場合はSCHEMA_SAMPLE_LIMITの指定を上げます。

SCHEMA_SAMPLE_LIMIT=100 bash inspect_fusabase_schema.sh

生成されたドキュメントを元にCodexにスキーマ情報を生成させるため、スクリプトもCodexに指示して実行させた方が良いかもしれません。


出力されたドキュメントから、Codexにスキーマ情報を生成させます。


以上でiOSアプリケーションが扱うスキーマ情報の準備もできました。


CodexによるiOSアプリケーションの生成



CodexがiOSアプリケーションをビルドできるように、あらかじめホストであるMacにXcodeとCommand Line Toolをインストールしておきます。Oracle Backend for FirebaseのiOS向けのLiveLabsを実施していると必要な準備はできているので、最初にLiveLabsに取り組んでおくことをお勧めします。

Oracle Backend for Firebaseのコンソールを開き、iOSアプリケーションを登録します。


App NicknameはProjectsとします。Register Appを実行します。


SDKのインストール方法の説明を表示するだけなので、どれを選択しても登録されるアプリケーションに違いはありませんが、今回の作業で使用するSDK installationの方法であるGithubを選択します。

Nextをクリックします。


画面に表示されたSDK構成をfusabasa-config.jsonの値として、iOSアプリケーションの要件に含めます。

Doneをクリックして、アプリケーションの登録を終了します。


作成するiOSアプリケーションの要件にはユーザーを登録する機能は含んでいません。Oracle Backend for Firebaseのコンソールより、あらかじめ、テスト用のアカウントを作成しておきます。


今回はとりあえずiOSアプリケーションの作成だけが目的なので、DatabaseのSecurity rulesでは制限をかけません。

match /{document=**} { allow read, write: if true;}


StorageのSecurity rulesについても同様です。

match /{document=**} { allow read, write: if true;}


Codexでプロジェクトを作成します。ローカルを選択して次へ進みます。


プロジェクト名を設定し、iOSアプリケーションを作成するフォルダをプロジェクトに紐づけます。

Codexのプロジェクトを作成します。


作成したフォルダにアプリケーションの要件を記述したファイル(今回はspec.md)とスキーマ情報を取り出すスクリプトinspect_fusabase_schema.shを配置します。

最初にスキーマ情報を生成させました。スキーマ情報を出力するにあたって、アプリケーションの要件を与えておくと、生成される情報の精度が上がるようです。


スキーマ情報が出力されたら、iOSアプリケーションを作成するように指示しました。


推論過程を見てみると、私の作業環境にダウンロードされていたiOSアプリケーションのLiveLabsとiOSのFusabase SDKのコードを参照していました。なので、これらをダウンロードしてプロジェクトで参照できるようにしていると、より精度が高いiOSアプリケーションのアプリケーションが生成されると思われます。

git clone https://github.com/KillianLynch/fusabase-livelabs-ios.git
git clone https://github.com/oracle/fusabase-ios-sdk.git



iOSアプリケーションのデバッグと更新



Codexが生成したiOSアプリケーションを、Xcodeで開いて実行します。


iOSシミュレータが起動し、作成したアプリケーションが実行されます。


こうじゃないな、と思うところを指示してアプリケーションを更新します。


この作業を繰り返し、iOSアプリケーションの完成度を上げていきます。

本記事では、Oracle Databaseを操作するiOSアプリをOracle Backend for FirebaseとOpenAI Codexで作成する手順を紹介しました。

本記事は以上になります。

 追記

ほとんど同じ手順でspec.mdにiOSの代わりにAndroidを指定して、CodexにAndroidアプリを生成させてみました。spec.mdの変更部分は以下です。
# Projects Androidアプリケーション要件

## 概要

Oracle Backend for Firebase(Fusabase)をバックエンドとして使用する、プロジェクト管理用の Android アプリケーション。

アプリケーション名: `Projects`  
対象プラットフォーム: Android / Java
認証方式: Basic 認証

AndroidアプリケーションはAndroid Studioで扱える形式で作成してください。

## Fusabase 接続設定

app/fusabase-config.jsonとして以下を記述します。

```json
{
    "schema": "testuser",
    "app_name": "com.oracle.fusabase.projects",
    "app_type": "ANDROID",
    "app_id": "5A79FA609C221B92E063020012ACF003",
    "objs_type": "dbfs",
    "project_id": "59C1663EAB6F13DFE063020012AC5621",
    "storage_bucket": "dbfs_BQYKZXSFPIUUWSH",
    "auth_type": "base",
    "auth_id": "59C1663EAB7313DFE063020012AC5621",
    "ords_host": "http://10.0.2.2:8181/ords/testuser/"
}
```

Fusabase iOS SDK は以下のリポジトリから取得する。

https://github.com/oracle/fusabase-android-sdk.git
出来上がったアプリケーションは以下です。アプリの見かけについて、きちんと指示を出せばもう少し見栄えの良いアプリケーションになると思います。


Webアプリケーションはspec.mdの変更を以下に変更して、Codexでアプリケーションを生成させてみました。
# Projects Webアプリケーション要件

## 概要

Oracle Backend for Firebase(Fusabase)をバックエンドとして使用する、プロジェクト管理用の Web アプリケーション。

アプリケーション名: `Projects`  
対象プラットフォーム: Web / JavaScript
認証方式: Basic 認証

Webアプリケーションとして扱える形式で作成してください。

## Fusabase 接続設定

fusabase-config.jsとして以下を記述します。

```json
{
    "schema": "testuser",
    "app_name": "ProjectWeb",
    "app_type": "WEB",
    "app_id": "5A7B034D62F4B85DE063020012ACC847",
    "objs_type": "dbfs",
    "project_id": "59C1663EAB6F13DFE063020012AC5621",
    "storage_bucket": "dbfs_BQYKZXSFPIUUWSH",
    "auth_type": "base",
    "auth_id": "59C1663EAB7313DFE063020012AC5621",
    "ords_host": "http://localhost:8181/ords/testuser/"

}
```

Fusabase Web SDK は以下のリポジトリから取得する。

https://github.com/oracle/fusabase-js-sdk.git
出来上がったアプリケーションは以下です。こちらもアプリの見かけについて、きちんと指示を出せばもう少し見栄えの良いアプリケーションになると思います。


どちらにしても、Oracle Backend for Firebase側でコレクションを準備してくれていれば、アプリケーションを作成する側は、バックエンドがOracle Databaseかどうかを意識することはありません。UIのデザインについては、巷で評判の高い方法を採用することができます。

完