日時データ型の表示フォーマットについて
日時データ型がOracle APEXのアプリケーションでどのように認識されているかを目視で確認するために、今まで使用してきたサンプル・アプリケーションのグローバリゼーションの設定を変更します。
日時データ型に関する書式設定を以下のように指定します。アプリケーション日付書式はそのままで変更しません。
対象 | 書式 | セッション設定 |
アプリケーション日付書式 | YYYY/MM/DD HH24:MI | NLS_DATE_FORMAT |
アプリケーションのタイムスタンプ書式 | YYYY/MM/DD HH24:MI:SS.FF3 | NLS_TIMESTAMP_FORMAT |
アプリケーションのタイムスタンプ・タイムゾーン書式 | YYYY/MM/DD HH24:MI:SS.FF3 TZR | NLS_TIMESTAMP_TZ_FORMAT |
ここで指定された書式はページ処理の開始時点で、以下のSQL文と同等の処理によりセッションに設定されます。
alter session set NLS_DATE_FORMAT = 'YYYY/MM/DD HH24:MI';
alter session set NLS_TIMESTAMP_FORMAT = 'YYYY/MM/DD HH24:MI:SS.FF3';
alter session set NLS_TIMESTAMP_TZ_FORMAT = 'YYYY/MM/DD HH24:MI:SS.FF3 TZR';
結果としてOracle APEXのアプリケーションでも扱う日時データ型にしたがって(ページ・アイテムやレポートの列に書式マスクが設定されていない限り)、セッションに設定された書式が適用されます。
上記の書式が適用されたレポートを確認します。
DATE型にはアプリケーション日付書式(NLS_DATE_FORMAT)、TIMESTAMP型およびTSLTZ型(TIMESTAMP WITH LOCAL TIME ZONE型)にはアプリケーションのタイムスタンプ書式(NLS_TIMESTAMP_FORMAT)、TSTZ型(TIMESTAMP WITH TIME ZONE型)にはアプリケーションのタイムスタンプ・タイムゾーン書式(NLS_TIMESTAMP_TZ_FORMAT)が適用されていることが確認できます。
グローバリゼーションの設定でアプリケーションの日時書式のみ空白にしています。これはセッションの設定には使用されず、APP_DATE_TIME_FORMATという置換文字列としてアプリケーション内で利用することができます。
書式マスクを個別に指定する場所に、置換文字列として&APP_DATE_TIME_FORMAT.を指定することにより、書式の変更を一箇所で出来るようになります。
現在時刻について
Oracle Databaseでは、現在の時刻を取得するために使用できるリテラルにいくつか種類があります。
- SYSDATE
- SYSTIMESTAMP
- CURRENT_DATE
- CURRENT_TIMESTAMP
- LOCALTIMESTAMP
Oracle APEXのアプリケーションがこれらの現在時刻を表す日時リテラルをどのように認識するか確認するために、レポートとして表示させてみます。
Datetimesレポートのページに、対話モード・レポートのリージョンを追加します。ページ・デザイナにてDatetimesレポートのページを開き、コンポーネント・ギャラリより対話モード・レポートをDatetimesレポートの直下に配置されるよう、ドラッグ&ドロップします。
レポートとして表示するSQLとして以下を与えます。
select sysdate, systimestamp, current_date, current_timestamp, localtimestamp,
dbtimezone, tz_offset(sessiontimezone)
from dual
対話モード・レポートの設定は以下のようになります。タイトルは現在時刻としています。ソースの位置はローカル・データベース、タイプはSQL問合わせとして、上記のSQLを設定します。
作成したレポートを、ページを実行して確認してみます。タイムゾーン・オフセットはAsia/Tokyoに設定されています。
見やすく記述します。日本時間の6月18日14時47分に実行しています。
SYSDATE | 2020/06/18 05:47 |
SYSTIMESTAMP | 2020/06/18 05:47:38.111 +00:00 |
CURRENT_DATE | 2020/06/18 14:47 |
CURRENT_TIMESTAMP | 2020/06/18 14:47:38.111 ASIA/TOKYO |
LOCALTIMESTAMP | 2020/06/18 14:47:38.111 |
DBTIMEZONE | -05:00 |
TZ_OFFSET(SESSIONTIMEZONE) | +09:00 |
タイムゾーン・オフセットをUS/Easternに切り替えて表示してみます。
見やすく記述します。日本時間の6月18日14時52分に実行しています。
SYSDATE | 2020/06/18 05:52 |
SYSTIMESTAMP | 2020/06/18 05:52:41.988 +00:00 |
CURRENT_DATE | 2020/06/18 01:52 |
CURRENT_TIMESTAMP | 2020/06/18 01:52:41.988 US/EASTERN |
LOCALTIMESTAMP | 2020/06/18 01:52:41.988 |
DBTIMEZONE | -05:00 |
TZ_OFFSET(SESSIONTIMEZONE) | -04:00 |
1. SYSDATE
データベースが稼働しているオペレーティング・システムから得られる時刻をDATE型で返します。タイムゾーンを含まないので、Oracle APEXのアプリケーション利用者はサーバーと同じタイムゾーンからアクセスしていることが前提でなければ、現在時刻として扱うことはできません。
2. SYSTIMESTAMP
データベースが稼働しているオペレーティング・システムから得られる時刻をTSTZ型(TIMESTAMP WITH TIME ZONE型)で返します。時刻のみではなくタイムゾーンも含みますが、オペレーティング・システムから得られるタイムゾーンになります。
ユーザーのタイムゾーンでの時刻で表示するにはSYSTIMESTAMP AT LOCALとして、AT LOCAL演算子を適用する必要があります。SYSTIMESTAMP AT LOCALの結果はCURRENT_TIMESTAMPになるため、そのような場合はCURRENT_TIMESTAMPを使用すべきでしょう。
ユーザーのタイムゾーンで扱う必要のない場合、例えばプロシージャやトリガー内で使用できます。
3. CURRENT_DATE
セッションのタイムゾーン・オフセットを適用した現在時刻をDATE型で返します。Oracle APEXアプリケーションを使用しているユーザーのタイムゾーンでの現在時刻になります。
4. CURRENT_TIMESTAMP
セッションのタイムゾーン・オフセットを適用した現在時刻をTSTZ型(TIMESTAMP WITH TIME ZONE型)で返します。時刻部分がユーザーのタイムゾーンでの時刻表示になり、かつ、タイムゾーンの情報も含まれます。
5. LOCALTIMESTAMP
セッションのタイムゾーン・オフセットを適用した現在時刻をTIMESTAMP型で返します。時刻部分がユーザーのタイムゾーンでの時刻表示になります。
アプリケーションを作成する上では、DATE型が必要であればCURRENT_DATE、TIMESTAMP型が必要であればLOCALTIMESTAMP、タイムゾーンの情報が必要であればCURRENT_TIMESTAMP、またはSYSTIMESTAMPを使うことになります。
TSLTZ型とDBTIMEZONE
DBTIMEZONEというのはデータベースを作成するときに指定するタイムゾーンです。TSLTZ型はこのDBTIMEZONEで指定されたタイムゾーンの時刻として保存されます。タイムゾーン自体の情報は含みません。
内部表現を確認してみます。先ほどと同様な手順で対話モード・レポートを作成します。ソースとなるSQLとして以下を設定します。
select "場所", "TSLTZ型", "TSLTZ型" at time zone dbtimezone as "内部時刻", dump("TSLTZ型") as "内部表現", dbtimezone, tz_offset(sessiontimezone) from test_datetimesレポートの結果は以下になります。
東京その1のデータは以下になっています。
場所 | 東京その1 |
TSLTZ型 | 2020/06/21 09:00:00.000 |
内部時刻 | 2020/06/20 19:00:00.000 -05:00 |
内部表現 | Typ=231 Len=7: 120,120,6,20,20,1,1 |
DBTIMEZONE | -05:00 |
TZ_OFFSET(SESSIONTIMEZONE) | +09:00 |
TSLTZ型は内部的には2020/06/20 19:00:00.000(-05:00はデータとしては含まれない)として保存されています。実際にはTyp=231 Len=7: 120,120,6,20,20,1,1となっています。データが保存されるとき、取り出されるときに、DBTIMEZONEとSESSIONTIMEZONEの差分をオフセットとして適用します。
気を付けなければならないことは、TSLTZ型を使うとタイムゾーンが保存されないことです。一旦、TSLTZ型に保存された後はデータの入力がどのタイムゾーンから行われたのか確認する術が無くなります。であればTSTZ型を使うと良いのですが、TSTZ型ではほとんどの操作でタイムゾーンの変換が必要になり、パフォーマンス上好ましくはありません。
DBTIMEZONEで時刻を保存しても、時刻にタイムゾーンの情報を含んでも、結局は同じ時刻を表していることに違いはありません。そのため、アプリケーション上の要件としてはTIMESTAMP WITH LOCAL TIME ZONE型で不足はないでしょう。
時刻を表示する際、つねにタイムゾーンも同時に表示させる、または、同一のユーザでもタイムゾーンを切り替えてデータの入力を行うといったアプリケーションでは、TSTZ型を使った方がよいかもしれません。