2021年4月27日火曜日

APEX 21.1のKnown Issuesに書いてあることの確認

 Oracle APEX 21.1のKnown Issuesとして、既知の不具合の他にサポートされなくなる機能についての記載があります。

https://apex.oracle.com/pls/apex/apex_pm/r/apex211/known-issues

リストされている不具合のほとんどは、製品がリリースされるまでに修正される予定です。そのためapex.oracle.com上で製品の評価をしない限り、気にしなくてもよいでしょう。

そうでないものについて、少し解説を加えてみようと思います。原文と記載が矛盾する場合は、常に英語の原文が正と考えてください。アプリケーション・ギャラリのGitHubへの移行については、すでにこちらの記事にしています。


アップグレードの際にログが移行されない


Oracle APEXのアクセス・ログなどについては、以前にこちらの記事を書いています。アップグレードの際にログの移行をしない、とは具体的にどういうことを言っているのか、説明を加えてみようと思います。

APEX_ACTIVITY_LOGから参照できる情報を例に説明します。

APEX_ACTIVITY_LOGはパブリック・シノニムです。これはデータベース・インスタンスにインストールされている最新のAPEXのスキーマに定義されているビューWWV_FLOW_USER_ACTIVITY_LOGを参照しています。このビューはビューWWV_FLOW_ACTIVITY_LOGを介して、実表WWV_FLOW_ACTIVITY_LOG1$WWV_FLOW_ACTIVITY_LOG2$を参照しています。これらの実表はAPEXの製品スキーマに存在しています。

そのため、例えばAPEX 20.2からAPEX 21.1へバージョンアップするケースでは、スキーマAPEX_200200の表WWV_FLOW_ACTIVITY_LOG1$, WWV_FLOW_ACTIVITY_LOG2$からAPEX_210100の表WWV_FLOW_ACTIVITY_LOG1$, WWV_FLOW_ACTIVITY_LOG2$へデータのコピーを実行しないと、以前のバージョンのログは新しいバージョンのAPEXから参照できなくなります。

今までは、このマイグレーションをアップグレード処理の一環として実施していましたが、APEX 21.1以降は行わないことにした、とのことです。

APEXをアップグレードしても旧バージョンのスキーマは削除されません。パブリック・シノニムAPEX_ACTIVITY_LOGからログは参照できなくなりますが、旧スキーマのログはそのまま残っていて、ビューWWV_FLOW_ACTIVITY_LOGから参照はできるでしょう。

オンプレミスなどの場合は以上ですが、Autonomous DatabaseではAPEXの製品スキーマに含まれているビューや表への直接アクセスは、ユーザーADMINでもできません。そのため、アップグレード後に以前にログにアクセスすることはできなくなります。もしログが移行されないと困る場合は、管理サービスからアップグレードの遅延はいに設定すると、ログのバックアップを取得したのちにアップグレードを行うことができます。


遅延アップグレードについては、こちらの記事が参考になるでしょう。

アプリケーションとしてログを長期間保存する必要がある場合は、ログ取得もアプリケーション側で作り込んでおく方が良いと思います。APEXが収集しているログは、あくまでデバッグなどアプリケーション開発のために使用するもの、という扱いであればログのマイグレーションを実施する必要は無くなります。

ちなみに、WWV_FLOW_ACTIVITY_LOG1$、WWV_FLOW_ACTIVITY_LOG2$とログを保存する実表が2つになっているのは、保存期間として指定された日数ごとに書き込む表を切り替えるためです。書き込み対象になっていない表であれば、単純なデータの削除に加えてセグメントの開放も実施できます。


サポートされなくなる機能


AnyChartコンポーネント


AnyChartコンポーネントはOracle JETコンポーネントに自動的に置き換わります。マップとガント・チャートは例外で静的コンテンツ・リージョンに置き換えられ、コンテンツにはソースのSQLを記載します。サーバー側の条件なしを設定することで、表示の対象から除かれます。

流石に、Adobe Flashをいまだに使っているケースはあまりないと思うので、これは問題にならないのではないでしょうか。


WebSheet


WebSheetがデサポートになります。ほとんど使っている人はいないと思うのですが、便利ではあったため、残念な気はします。


REST管理インターフェース


REST管理インターフェースがデサポートになります。日本語のマニュアルの以下で説明されている機能です。使用していなければ、気にする必要はありません。

3.3.5 REST管理インターフェースを使用した使用状況統計

SQLワークショップのRESTfulサービスやRESTサービスそのものではありません。


クイックSQLの表ディレクティブhistory


クイックSQLの表ディレクティブ /history がデサポートになります。


変更履歴を保存する表と、そこに変更を書き込むトリガーを生成する機能でした。

Microsoft Edgeレガシー版


Microsoft Edgeレガシー版がデサポートになります。英語の原文では、Microsoftのこちらのステートメントを参照して、とのこと。Microsoftのサイトから参照できる日本語による翻訳はこちらです。

以下の記述されているように、Microsoft Edgeレガシー版はすでにセキュリティ更新が停止されています。
  • 2021 年 3 月 9 日以降、Microsoft Edge レガシー版 デスクトップ アプリでは、新しいセキュリティ更新を受け取れなくなります。

以上です。