2022年4月4日月曜日

DBMS_CLOUD.COPY_DATAとAPEX_DATA_LOADINGの比較

 最近、DBMS_CLOUD.EXPORT_DATAとパッケージAPEX_DATA_EXPORTを使ったCSVファイルへのエクスポートについて比較したので、ついでにDBMS_CLOUD.COPY_DATAとパッケージAPEX_DATA_LOADINGも比較してみました。また、外部表を使用したインポートも行ってみました。

速度についてはDBMS_CLOUD.COPY_DATA(および外部表を使ったインポート)が高速です。大量のデータをインポートする場合は、こちらの手順を使うことになると思います。

テストに使用するデータを準備します。こちらの記事と同じ環境でテストを行います。

表BRICKSよりオブジェクト・ストレージに、10,000,000行のデータをエクスポートします。オブジェクト名bricks_10m_で始まるようにします。同様に100,000行のデータをエクスポートします。オブジェクト名bricks_100k_で始まるようにします。

オブジェクト・ストレージへのエクスポートには、以下のスクリプトを使用します。

$IFのフラグをtrueとfalseに変更し、それぞれ1回ずつスクリプトを実行すると以下のように、オブジェクトが2つ、指定したバケット以下に作成されます。



DBMS_CLOUD.COPY_DATAを使ったデータ・ロード



DBMS_CLOUD.COPY_DATAを実行し、bricks_10m_xxxx.csv.gzを表BRICKS_IMPにロードします。

データをロードする表BRICKS_IMPを作成します。

create table bricks_imp as select * from bricks where 1<>1;

SQL> create table bricks_imp as select * from bricks where 1<>1;


Table BRICKS_IMPは作成されました。


SQL> desc bricks_imp


            名前    Nullかどうか             タイプ 

______________ ___________ _______________ 

BRICK_ID       NOT NULL    NUMBER          

COLOUR         NOT NULL    VARCHAR2(6)     

SHAPE          NOT NULL    VARCHAR2(8)     

WEIGHT         NOT NULL    NUMBER          

INSERT_DATE    NOT NULL    DATE            

JUNK           NOT NULL    VARCHAR2(50)    

SQL> 

DBMS_CLOUD.COPY_DATAを使って、データをロードするスクリプトは以下になります。

10,000,000行のロードにかかっている時間は、大体30秒といったところです。

SQL> set serveroutput on

SQL> set time on timing on

13:18:47 SQL> @copy_data

22-04-04 04:18:50.369347000 +00:00: dbms_cloud.copy_data

22-04-04 04:19:22.944414000 +00:00: end

22-04-04 04:19:22.953348000 +00:00: COMPLETED



PL/SQLプロシージャが正常に完了しました。


経過時間: 00:00:32.951

経過時間: 00:00:33.122

13:19:23 SQL> select count(*) from bricks_imp;


   COUNT(*) 

___________ 

   10000000 


経過時間: 00:00:00.439

13:19:38 SQL> select * from bricks

  2  minus

  3* select * from bricks_imp;


行が選択されていません

経過時間: 00:00:36.553

13:20:27 SQL> 


表BRICKS_IMPからすべての行を削除して、再度データのロードを実行しました。処理時間にそれほどの違いは出ていません。

13:20:27 SQL> delete from bricks_imp;


10,000,000行削除されました。


経過時間: 00:00:26.661

13:23:37 SQL> commit;


コミットが完了しました。


経過時間: 00:00:00.354

13:23:41 SQL> @copy_data

22-04-04 04:23:45.554795000 +00:00: dbms_cloud.copy_data

22-04-04 04:24:17.105518000 +00:00: end

22-04-04 04:24:17.106193000 +00:00: COMPLETED



PL/SQLプロシージャが正常に完了しました。


経過時間: 00:00:31.905

経過時間: 00:00:32.080

13:24:17 SQL> 


セグメントのサイズを確認してみました。

全件削除したのち再インポートしたときのセグメントのサイズは、表BRICKS_IMPをトランケートした後にインポートしたサイズの2倍になっているので、内部的にはダイレクト・パス・インサートになっているようです。

13:24:17 SQL> select bytes from user_segments where segment_name = 'BRICKS_IMP';


      BYTES 

___________ 

   51380224 


経過時間: 00:00:00.447

13:28:11 SQL> truncate table bricks_imp;


Table BRICKS_IMPが切り捨てられました。


経過時間: 00:00:02.720

13:28:25 SQL> select bytes from user_segments where segment_name = 'BRICKS_IMP';


   BYTES 

________ 

   65536 


経過時間: 00:00:00.342

13:28:29 SQL> @copy_data

22-04-04 04:28:34.204638000 +00:00: dbms_cloud.copy_data

22-04-04 04:29:06.123755000 +00:00: end

22-04-04 04:29:06.124399000 +00:00: COMPLETED



PL/SQLプロシージャが正常に完了しました。


経過時間: 00:00:32.442

経過時間: 00:00:32.615

13:29:06 SQL> select bytes from user_segments where segment_name = 'BRICKS_IMP';


      BYTES 

___________ 

   26214400 


経過時間: 00:00:00.344

13:29:12 SQL>




外部表を使ったデータ・ロード



次のスクリプトを実行して、外部表BRICKS_EXTを作成します。

CREATE TABLE AS SELECTを実行して、表BRICKS_EXTより表BRICKS_IMPを作成します。

create table bricks_imp as select * from bricks_ext;

13:44:20 SQL> create table bricks_imp as select * from bricks_ext;


Table BRICKS_IMPは作成されました。


経過時間: 00:00:33.023

13:45:08 SQL> 


処理時間は33秒で、DBMS_CLOUD.COPY_DATAとそれほど変わりません。

データを表BRICKS_IMPから削除します。その後、INSERT SELECTにて表BRICKS_EXTより表BRICKS_IMPにデータをコピーします。

insert into bricks_imp select * from bricks_ext;

13:59:54 SQL> delete from bricks_imp;


10,000,000行削除されました。


経過時間: 00:00:26.859

14:00:31 SQL> commit;


コミットが完了しました。


経過時間: 00:00:00.365

14:00:36 SQL> select bytes from user_segments where segment_name = 'BRICKS_IMP';


      BYTES 

___________ 

   26214400 


経過時間: 00:00:00.352

14:00:38 SQL> insert into bricks_imp select * from bricks_ext;


10,000,000行挿入しました。


経過時間: 00:00:30.709

14:01:35 SQL> commit;


コミットが完了しました。


経過時間: 00:00:00.525

14:02:30 SQL> select bytes from user_segments where segment_name = 'BRICKS_IMP';


      BYTES 

___________ 

   59768832 


経過時間: 00:00:00.350

14:02:34 SQL> 


INSERT SELECTでも処理時間はそれほど変わりません。インサート後のセグメントのサイズが倍増していることより、こちらもダイレクト・パス・インサートになっているようです。

データのロードを繰り返す場合は、DELETE文よりTRUNCATE文を使う方が、パフォーマンス面での問題が発生しにくいと思われます。


APEX_DATA_LOADINGを使ったデータ・ロード



パッケージAPEX_DATA_LOADINGに含まれるプロシージャLOAD_DATAを使うには、APEXのアプリケーションに作成されたデータ・ロード定義が必要です。

出力されているCSVファイルの、先頭から数行をコピーしておきます。データをCSV形式でエクスポートする際にNLS_LANGを指定していなかったので、日付のフォーマットがDD-MON-RR(英語)になっています。

1,blue,cylinder,2,01-JAN-11,xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

2,blue,pyramid,8,01-JAN-11,xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

3,blue,prism,3,01-JAN-11,xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

4,blue,cube,3,01-JAN-11,xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

5,blue,cylinder,4,01-JAN-11,xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

6,blue,pyramid,2,01-JAN-11,xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx


アプリケーション・ビルダーに移ります。

アプリケーションの共有コンポーネントに含まれる、データ・ロード定義を開きます。


作成済みのデータ・ロード定義が一覧されます。

作成をクリックします。


データ・ロードの作成として、最初からを選択します。

へ進みます。


名前BRICKSとします。ターゲット・タイプ表名としてBRICKS_IMPを選択します。

へ進みます。


ソース・タイプとしてコピー・アンド・ペーストを選択し、サンプルとして、一部のデータを貼り付けます。

へ進みます。


DBMS_CLOUD.COPY_DATAの出力にヘッダーが含まれていないため、列見出し最初の行にヘッダーが含まれるチェックは外しますマップ先はCSVのデータ位置に合わせて、表BRICKS_IMPの列を指定します。INSERT_DATE書式マスクとしてDD-MON-RRを指定します。列BRICK_ID主キーチェックを入れます。

ページの作成は不要です。データ・ロードの作成をクリックします。


以上でデータ・ロード定義が作成されます。作成されたデータ・ロード定義の細部を調整するために、データ・ロード定義BRICKSを開きます。


APEXのデータ・ロードの場合、ロード・メソッド追加マージ置換から選ぶことができます。DBMS_CLOUD.COPY_DATAとの比較という意味では、追加が近い動作になるため、追加を選びます。コミット間隔の数値を大きくすると速度は上がりますが、今回はデフォルトの200のままにします。

静的IDは、コードからデータ・ロードを呼び出す際に使用します。

データ・プロファイルの編集をクリックして、編集画面を開きます。


残念なことに、詳細最初の行にヘッダーが含まれるONになっています。また、セレクタ・タイプセレクタの設定も、ウィザードで指定した通りになっていません。


最初の行にヘッダーが含まれるOFFにします。また、列をそれぞれ開き、セレクタ・タイプ順序セレクタに列の位置を数値で設定します。


以上の変更を行い、変更の適用をクリックします。


データ・ロード定義の画面も閉じます。


以上で、データ・ロード定義の作成は完了です。

APEX_DATA_LOADINGを使ったインポートは、以下のスクリプトで実行します。

列INSERT_DATEの月の表記は英語なので、スクリプトの実行時にNLS_LANGUAGEAmericanに変更します。

16:42:05 SQL> alter session set NLS_LANGUAGE = 'American';


Sessionが変更されました。


経過時間: 00:00:00.526

16:42:20 SQL> @import

22-04-04 07:42:22.534203000 +00:00: dbms_cloud.get_object

Length: 8094330

22-04-04 07:42:22.807388000 +00:00: apex_session.create_session

22-04-04 07:42:22.818248000 +00:00: apex_data_loading.load_data

22-04-04 07:50:31.205545000 +00:00: end



PL/SQLプロシージャが正常に完了しました。


経過時間: 00:08:09.042

経過時間: 00:08:09.219

16:50:31 SQL> 


APEX_DATA_LOADING.LOAD_DATAでは100,000行で8分程度時間がかかっています。コミットに時間がかかっているわけではないので、コミット間隔を増やしてもそれほど効果はなさそうです。

10万行のロードで8分かかる、ということは画面からの実行であればタイムアウトが発生するでしょう。タイムアウトに関しては、データのロード処理をバックグラウンドで実行する(こちらの記事の最後の方で紹介)ことにより対応できます。とはいえ、あまり大量の行をAPEX_DATA_LOADINGを使ってインポートするのは現実的ではなく、Autonomous DatabaseであればDBMS_CLOUDパッケージや外部表、それ以外では外部表やSQL*Loaderなどの利用が有効と言えます。