ファセット検索のマルチバリュー・ファセットのタイプとしてJSON配列を選択できます。しかし、JSONをBLOBとして格納すると文字列ではないため、そのままでは対話モード・レポートやフォームで扱うことができません。
BLOBに格納したJSON配列をマルチバリュー・ファセットとして使用するために作成した、いくつかの処理について紹介します。
実装サンプルとなるアプリケーションを作成するために、クイックSQLの以下のモデルより、表ARTICLESを作成します。
articles
title
tags json
その後、実行をクリックして表ARTICLESを作成します。
表ARTICLESが作成されたら、アプリケーションの作成を実行します。
アプリケーション作成ウィザードが起動します。デフォルトで作成されているページを削除し、ファセット検索のページを追加します。
アプリケーションの名前とページ名の双方を記事検索としています。
追加するファセット検索のページのフォームを含めるにチェックを入れます。
表示形式はレポート、表としてARTICLESを選択します。
以上でアプリケーションの作成を実行します。
作成されたアプリケーションを実行すると、以下の画面が開きます。
作成をクリックし、データを作成します。フォームが開くとTagsの指定としてファイルを選択するようになっています。列の型がBLOBなので、ページ・アイテムのタイプがファイル参照になっています。
ページ・デザイナでフォームのページを開き、画面上はカンマ区切りの文字列として複数のタグを入力できるように変更します。
フォームを初期する際にBLOBに保存されているタグのJSON配列を、カンマ区切りの文字列に変更するプロセスを作成します。
レンダリング前のヘッダーの前、初期化フォームArticleの直下に新規にプロセスを作成します。
識別の名前はJSON配列をカンマ区切り文字列にするとします。タイプとしてコードを実行を選びます。編集可能リージョンは- 選択 -のまま変更しません。これは未選択を意味します。タグを保存するページ・アイテムP2_TAGSとして現在は表ARTICLESの列TAGSが割り当てられていますが、この後に割り当てを変更しP2_TAGSにプロセスの処理結果を保存します。そのため、割り当てるべき編集可能リージョンはありません。
ソースのPL/SQLコードとして以下を記述します。変数宣言が不要な場合はbegin/endで囲む必要はありません。
select listagg(t.tag,',') within group (order by t.tag) into :P2_TAGS
from
articles a
, json_table(a.tags, '$[*]'
columns (tag varchar2(40) path '$')
) t
where a.id = :P2_ID;
サーバー側の条件として、タイプにアイテムはNULLではないを選択し、アイテムにP2_IDを指定します。
以上で、データの読み出し時にJSON配列からカンマ区切りの文字列へ変更するプロセスが作成されました。
次にカンマ区切りの文字列をJSON配列に変換して、表ARTICLESに保存するプロセスを作成します。
左ペインでプロセス・ビューを開き、プロセス・フォームArticleの直下に新規にプロセスを作成します。
識別の名前はカンマ区切り文字列をJSON配列で保存とします。ソースのPL/SQLコードとして以下を記述します。
update articles
set tags =
(
select json_arrayagg(column_value returning blob)
from apex_string.split(:P2_TAGS,',')
)
where id = :P2_ID;
サーバー側の条件として、タイプにリクエストは値に含まれる、値としてCREATE SAVEを指定します。作成または変更の適用のボタンを押した時のみ、処理が実行されます。
ページ・アイテムP2_TAGSの識別のタイプをテキスト・フィールドに変更し、ソースのフォーム・リージョンを- 選択 -に変更(つまり未選択)します。タイプはNULL、セッション・ステートの保持はリクエストごと(メモリーのみ)を指定します。
以上でタグの入出力については、対応ができました。
アプリケーションを実行し、データを入力してみます。
データを保存すると、レポートにダウンロードのリンクが表示されます。列の型がBLOBの場合のデフォルトになります。
ダウンロードのリンクの代わりに文字列を表示させ、また、マルチバリュー・ファセットも作成します。
リージョンArticlesのソースのSQL問合せを以下に変更します。手抜きですが、JSON配列をそのまま文字列として表示します。ファセットのソースとしてJSON配列を使うため、列TAGSはそのまま残します。文字列として表示する列はTAGS_DISPとして新たに追加します。
select
id
, title
, tags
, json_query(tags format json,'$') tags_disp
from articles
列TAGS_DISPのヘッダーをTags DispからTagsへ変更します。
この時点でレポートを表示させると、ダウンロード・リンクの代わりにJSON配列がそのままの形式で表示されていることが確認できます。
最後にファセットを作成します。
識別の名前をP1_TAGS、タイプとしてチェック・ボックス・グループを選択します。ラベルはTagsとします。LOVのタイプとして個別値、ソースのデータベース列はTAGS、データ型としてVARCHAR2を選択します。実際の型はBLOBなのですが、なぜかVARCHAR2にしないと正常に動作しません。
複数の値のタイプとしてJSON配列を選択し、フィルタの結合にはAND(論理積)を選択しました。
編集フォームが閉じたときにファセットも更新されるよう、動的アクションを追加します。
動的アクション・ビューを開き、動的アクションのレポートの編集 - ダイアログのクローズにTRUEアクションを作成します。
識別のアクションとしてリフレッシュを選択します。影響を受ける要素の選択タイプとしてリージョン、リージョンに検索(ファセットのリージョン)を選択します。
以上でアプリケーションは完成です。
実行すると記事の最初にあるGIF動画のように動作します。
今回作成したアプリケーションを以下に置きました。
https://github.com/ujnak/apexapps/blob/master/exports/multivalue-facet-json-blob.zip
Oracle APEXのアプリケーション作成の参考になれば幸いです。
完