2025年12月18日木曜日

Role based JWT profileで保護したORDS REST APIにMCP Inspectorでアクセスする - Oracle IAM編

Oracle REST Data ServicesのRESTモジュールをRole based JWT profileで保護し、そのREST APIにMCP Inspectorでアクセスしてみます。

以下の記事に記載されている手順を実施済みとします。

Oracle IAMのOIDC認証にてAPEXアプリとそれから呼び出すORDSのREST APIを認証する
https://apexugj.blogspot.com/2024/06/verification-of-oauth-create-jwt-profile-oracle-iam.html

Oracle IAMの統合アプリにカスタム・クレームを追加しRole based JWT profileによる保護を確認する
https://apexugj.blogspot.com/2025/12/protecting-ords-by-role-based-jwt-profile-with-oracle-iam.html

本記事では、以下の作業が完了していることを前提とします。
  • 発行者(issuer)をデフォルトのhttps://identity.oraclecloud.com/としています。
  • 署名証明書へのアクセスクライアント・アクセスの構成有効にしています。
  • カスタム・クレームiam_groupsを作成しています。
記述が重複しますが、Oracle IAMでの確認作業について記載します。

Defaultドメインのユーザー管理を開き、ORDSでロールとして扱うグループを作成します。


作成するグループの名前ORDSUsers説明は「ORDS REST APIへのアクセスを許可」と記述します。

グループに含めるユーザーチェックし、作成を実行します。


グループORDSUsersが作成されます。


ユーザータブを開き、グループ作成時にチェックしたユーザーが含まれていることを確認します。


グループの作成は以上で完了です。

Defaultドメインの統合アプリケーションを開き、 アプリケーションの追加をクリックします。


モバイル・アプリケーションを選択し、ワークフローの起動をクリックします。


追加するモバイル・アプリケーションの名前ORDS MCPとします。画面下部にある、認証と認可権限付与を認可として実施オンにします。このアプリケーションに割り当てられたユーザーおよびグループのみがサインインできるようになります。

送信をクリックします。


アプリケーションORDS MCPが作成されます。


OAuth構成タブを開きます。

一般情報クライアントIDは、MCP InspectorのOAuth 2.0 FlowClient IDに設定する値になります。接続時に必要になるため、メモしておきます。

OAuth構成の編集をクリックします。


認可許可される権限付与タイプに含まれる、リフレッシュ・トークン認可コードチェックします。

MCP InspectorのリダイレクトURLはHTTPなので、HTTPS以外のURLを許可オンにします。

リダイレクトURLとして、以下の3つを設定します。

http://localhost:6274/oauth/callback
https://chatgpt.com/connector_platform_oauth_redirect
https://claude.ai/api/mcp/auth_callback

以上を設定し、送信します。


アプリケーションをアクティブ化します。

アクション・メニューのアクティブ化を実行します。


アプリケーションがアクティブ化されたら、ユーザータブを開き、このアプリケーションにサインインできるユーザーの割当てを実施します。


アプリケーションに割り当てるユーザーを選択し、割当てをクリックします。


以上で、Oracle IAMにモバイル・アプリケーションORDS MCPが作成できました。


ORDS REST APIの保護とアクセスに必要な設定を集めます。

発行者はデフォルト値としているので、ORDS_SECURITY.CREATE_JWT_PROFILEを呼び出す際に、引数p_issuerに与える値はhttps://identity.oraclecloud.com/になります。

Defaultドメインの詳細に記載されているドメインURLが、ORDS_SECURITY.CREATE_JWT_PROFILEを呼び出す際に、引数p_audienceに与える値になります。また、この値はoauth-protected-resourceのresource属性に設定する値になります。


以下のURLで取得できる内容を、nginxが返す/.well-known/openid-configurationとして配置します。

https://ドメインURL/.well-known/openid-configuration

上記のURLにブラウザよりアクセスし、属性jwks_uriの値を取得します。この値は、ORDS_SECURITY.CREATE_JWT_PROFILEを呼び出す際に、引数p_jwk_urlに与える値になります。


oauth-protected-resourceauthorization_serversとして設定する値は、ドメインURLになります。ドメインURLの末尾に/(スラッシュ)を加えます。

ORDS REST APIの保護とアクセスに必要な設定は以上になります。

ロール・ベースJWTプロファイルを設定します。

ORDS_SECURITY.CREATE_JWT_PROFILEを実行します。それぞれの引数には、今まで集めた設定値を割り当てます。引数p_role_claim_nameには、以前の記事で作成している/iam_groupsを指定します。
begin
    ords_security.delete_jwt_profile;
    ords_security.create_jwt_profile(
        p_issuer => 'https://identity.oraclecloud.com/'
        ,p_audience => 'ドメインURL'
        ,p_jwk_url => 'ドメインURL/admin/v1/SigningCert/jwk'
        ,p_role_claim_name => '/iam_groups'
    );
end;
/

ビューUSER_ORDS_JWT_PROFILEを検索し、設定した内容を確認します。

select issuer,audience,jwk_url,role_claim_name from user_ords_jwt_profile


以下のスクリプトを実行し、Oracle REST Data Servicesに権限oracle.example.mcpを作成(すでに存在する場合は再定義)します。ロールとしてORDSUsersを作成し、RESTモジュールsampleserverを保護します。
declare
    l_roles    owa.vc_arr;
    l_modules  owa.vc_arr;
    l_patterns owa.vc_arr;
begin
    ords.create_role(
        p_role_name => 'ORDSUsers'
    );
    l_modules(1) := 'sampleserver';
    l_roles(1)   := 'ORDSUsers';
    ords.define_privilege(
        p_privilege_name => 'oracle.example.mcp',
        p_label          => 'Priviledge for MCP',
        p_roles          => l_roles,
        p_modules        => l_modules,
        p_patterns       => l_patterns    -- no assignment
    );
end;
/

nginxを実行しているインスタンスに接続し、/.well-known/以下を設定します。

rootユーザーで作業します。

sudo -s

[opc@apex ~]$ sudo -s

[root@apex opc]# 


nginxのドキュメント・ルートに移動します。

cd /usr/share/nginx/html

[root@apex opc]# cd /usr/share/nginx/html

[root@apex html]# 


ディレクトリ.well-knownがすでに存在すれば名称を変えて保存し、新たに.well-knownを作成します。

mv .well-known well-known.bak
mkdir .well-known


[root@apex html]# mv .well-known well-known.bak

[root@apex html]# mkdir .well-known

[root@apex html]# 


リモートMCPサーバーのアクセスパスが/ords/apexdev/sampleserver/mcpなので、oauth-protected-resourceとして記述する内容は.well-known以下の.well-known/oauth-protected-resource/ords/apexdev/sampleserver/mcpに記述します。

ファイル.well-known/oauth-protected-resource/ords/apexdev/sampleserver/mcpを作成し、以下を記述します。
{
  "resource": "ドメインURL",
  "authorization_servers": {
    ["ドメインURL/"]
  }
}
authorization_serversの設定で、JSON配列を{}で囲んでJSONオブジェクトにしています。構文的に間違っているように思いますが、こうしないとMCP Inspectorがauthorization_serversを認識しません。

メタデータをダウンロードし、.well-known以下に配置します。

curl -OL ドメインURL/.well-known/openid-configuration
mv openid-configuration .well-known/


[root@apex html]# curl -OL https://**********.identity.oraclecloud.com:443/.well-known/openid-configuration

  % Total    % Received % Xferd  Average Speed   Time    Time     Time  Current

                                 Dload  Upload   Total   Spent    Left  Speed

100  3166  100  3166    0     0  36355      0 --:--:-- --:--:-- --:--:-- 36390

[root@apex html]# mv openid-configuration .well-known/

[root@apex html]# 


以上で全体の設定が完了しました。

MCP Inspectorを起動します。

npx @modelcontextprotocol/inspector

Transport TypeStreamable HTTPを選択し、URLにORDSのRESTモジュールとして実装されているサンプルのMCPサーバーのURLを設定します。

https://ホスト名/ords/apexdev/sampleserver/mcp

OAuth 2.0 FlowClient IDに、Oracle IAMに作成した統合アプリケーションORDS MCPクライアントIDを設定します。

Connectをクリックし、認証プロセスを開始します。


Oracle IAMのサインインの画面に遷移します。


ユーザー認証に成功しました。


以上でRole based JWT profileで保護したORDS REST APIを、MCP Inspectorでアクセスできました。

記事「Role based JWT profileで保護したORDS REST APIにMCP Inspectorでアクセスする - Auth0編」と同じ作業を行い、ChatGPTのアプリ、およびClaude Desktopのカスタムコネクタを作成してみました。

ブラウザ版のChatGPTでは、nginxが返す/.well-known/oauth-protected-resource/ords/apexdev/sampleserver/mcpの内容を以下に変更する必要がありました。authorization_serversはオブジェクトとして与えます。
{
  "resource": "ドメインURL",
  "authorization_servers": {
    ["ドメインURL/"]
  },
  "scopes_supported": ["files:read", "files:write"]
}
上記の設定で、ChatGPTアプリとして作成できました。

Claude Desktop向けでは、/.well-known/oauth-protected-resource/ords/apexdev/sampleserver/mcpとして以下を記述しています。authorization_serversは配列として与えます。
{
  "resource": "ドメインURL",
  "authorization_servers": 
    ["ドメインURL/"]
  ,
  "scopes_supported": ["files:read", "files:write"]
}
また、Claude Desktopは/.well-known/openid-configurationを探さなかったので、/.well-known/oauth-authorization-serverとして配置する必要がありました。

上記の設定で、Claude Desktopのカスタムコネクタとして作成できました。

クライアントとIdPの組み合わせに依存して、oauth-protected-resourceauthorization_serversがオブジェクトを受け付けたり、配列を受け付けたりするのは謎ですが、とにかく接続はできました。

今回の記事は以上です。