2024年9月5日木曜日

Oracle APEXでthree.jsのGetting Startedに取り組んでみる

Oracle CloudのAlways Free枠で使用できるOracle APEXを使って、three.jsのGetting Startedに掲載されているExampleをいくつか実装してみます。使用するデータベースはAutonomous Transaction Processingです。

最初に空のAPEXアプリケーションを作成します。名前three.js Getting Startedとします。


アプリケーションが作成されます。

今回はJavaScriptの記述が多いので、VS Codeを使って開発することにします。ローカルで開発できるように、共有コンポーネントの静的アプリケーション・ファイルを手元のPCにダウンロードします。

共有コンポーネントを開きます。


静的アプリケーション・ファイルを開きます。


Zipファイルとしてダウンロードをクリックし、保存されている静的アプリケーション・ファイルをダウンロードします。


手元のPCに適当なフォルダを作成し、そこにZipファイルの内容を展開します。

今回はthree-examplesというディレクトリを作成し、そこにダウンロードしたfnnn_static_application_files.zipnnnの部分はアプリケーションID)を展開しました。

iconsというフォルダが作成され、その下にPNG形式のファイルが保存されます。

% pwd

/......................../three-examples

three-examples % ls -lR

total 0

drwxr-xr-x@ 7 **********  staff  224  9  5 14:57 icons


./icons:

total 72

-rw-rw-rw-@ 1 **********  staff   2688  9  5 05:53 app-icon-144-rounded.png

-rw-rw-rw-@ 1 **********  staff   3043  9  5 05:53 app-icon-192.png

-rw-rw-rw-@ 1 **********  staff   5461  9  5 05:53 app-icon-256-rounded.png

-rw-rw-rw-@ 1 **********  staff    522  9  5 05:53 app-icon-32.png

-rw-rw-rw-@ 1 **********  staff  12362  9  5 05:53 app-icon-512.png

three-examples % 


VS Codeで作成したフォルダを開きます。

開いたフォルダ直下にファイルindex.htmlを作成します。Live Serverを起動するためだけに使用するファイルなので、以下の内容で十分です。
<html>
<body>
    LiveServer is available.
</body>
</html>

VS Codeの拡張機能としてLive Serverを入れておきます。


作成したindex.html上でコンテキスト・メニューを開きます。

メニューよりOpen with Live Serverを実行します。


ブラウザのウィンドウが開き、index.htmlがLive Server経由で開きます。以下のURLにアクセスしているはずです。

http://127.0.0.1:5500/index.html

同じフォルダに存在する他のファイルも、http://127.0.0.1:5500/からアクセスできるようになりました。


作成した空のAPEXアプリケーションを実行します。

アプリケーションにサインインしたのち、開発者ツール・バーセッションより、セッション・オーバーライドを開きます。


セッション・オーバーライドファイル・パスに含まれるアプリケーション・ファイルオンに切り替え、値にLive Serverの待ち受け先URLであるhttp://127.0.0.1:5500/を設定します。

設定を保存します。


セッション・オーバーライドの設定を保存しても、ページの表示が変わったようには見えません。アイコン上でコンテキスト・メニューを表示し、画像アドレスをコピーを実行します。

コピーした画像アドレスが以下のようにLive Serverを指していれば、VS Codeによる開発を行う準備は完了です。

http://127.0.0.1:5500/icons/app-icon-512.png


最初にGetting StartedのCreating a sceneに取り組みます。

新規に空白のページを作成します。ページの名前Creating a sceneナビゲーションブレッドクラムの使用オフにします。


ページが作成されます。Getting StartedのInstallationOption 2: Import from a CDNを参考にして、このページでthree.jsが使えるようにします。npm version listを開き、threeの最新バージョンを確認します。2024年9月5日時点では、0.168.0が最新でした。

以下のimportmapページ・プロパティHTMLヘッダーに記述します。
<script type="importmap">
  {
    "imports": {
      "three": "https://cdn.jsdelivr.net/npm/three@0.168.0/build/three.module.js",
      "three/addons/": "https://cdn.jsdelivr.net/npm/three@0.168.0/examples/jsm/"
    }
  }
</script>

以上でこのページでthree.jsを呼び出す準備ができました。

Creating a sceneの例は、最終的にはmain.jsというファイルに実装されます。例題のコードではbody直下にthree.jsの描画領域を配置するようになっています。APEXのページ内に表示させるために、描画領域をリージョンに含めるように変更します。

静的コンテンツのリージョンを作成し、ソースHTMLコードとして以下を記述します。

<div id="container"></div>


この状態でページを実行すると、以下のように表示されます。


VS Codeで以下のファイルmain.jsを作成します。



ファイルを作成したら、ページ・プロパティJavaScriptファイルURLに、main.jsを参照する行を記述します。セッション・オーバーライドが有効なので、置換文字列APP_FILESは、Live Serverを指します。

[module, defer]#APP_FILES#main.js

ページの変更を保存します。


先ほどのページを再ロードすると、以下のように表示されます。


次にDrawing linesの例題に取り組みます。

Creating a sceneのページをコピーして、Drawing linesのページを作成します。

ページの作成を実行し、コピーとしてのページの作成を選択します。


次のコピーとしてのページを作成は、このアプリケーションのページです。

へ進みます。


コピー元のページとして、すでにthree.jsを実装した2. Creating  a sceneを選択します。新規ページ番号新規ページ名Drawing linesとします。

へ進みます。


ナビゲーションのプリファレンスとして新規ナビゲーション・メニュー・エントリの作成を選択します。新規ナビゲーション・メニュー・エントリはデフォルトでDrawing linesになります。

へ進みます。


リージョンのタイトルをCreating a sceneからDrawing linesに変更します。

以上でコピーを実行します。


ページのコピーが作成されます。

ページ・プロパティJavaScriptファイルURLを、ファイルdrawingLines.jsを参照するように変更します。

[module, defer]#APP_FILES#drawingLines.js


VS Codeの作業に移ります。ファイルdrawingLines.jsを作成します。内容は以下になります。

ページの保存と実行を行います。


ページ上に2本の青い線で、上を示す矢印が書かれていることが確認できます(以下のスクリーンショットでの確認は難しいですが、書いてあります)。


最後にExamplesのanimation / keyframesを実装してみます。

ページのコピーまでは先ほどと同様に実施します。ページ名リージョン名animation keyframesとします。

keyframesを実装するファイルはkeyframes.jsとします。ページ・プロパティJavaScriptファイルURLの記載は以下になります。

[module, defer]#APP_FILES#keyframes.js


animation / keyframesの右下にあるボタンをクリックし、例題のソースにアクセスします。


GitHubのリポジトリにあるファイルが開きます。


静的コンテンツソースHTMLコードを以下に置き換えます。著作権に関する記述を追加しています。
<div id="container"></div>

<div id="info">
	<a href="https://threejs.org" target="_blank" rel="noopener">three.js</a> webgl - animation - keyframes<br/>
	    Model: <a href="https://artstation.com/artwork/1AGwX" target="_blank" rel="noopener">Littlest Tokyo</a> by
    <a href="https://artstation.com/glenatron" target="_blank" rel="noopener">Glen Fox</a>, CC Attribution.
</div>


VS Codeに移り、ファイルkeyframes.jsを作成します。以下のコードを記述します。


keyframs.jsが参照しているファイルをGitHubのリポジトリからコピーします。

以下のファイルをmodels/gltf/LittlestTokyo.glbとして保存します。
https://github.com/mrdoob/three.js/blob/master/examples/models/gltf/LittlestTokyo.glb

以下のファイルは、jsm/libs/draco/gltf以下にコピーします。
https://github.com/mrdoob/three.js/blob/master/examples/jsm/libs/draco/gltf/draco_decoder.js
https://github.com/mrdoob/three.js/blob/master/examples/jsm/libs/draco/gltf/draco_decoder.wasm
https://github.com/mrdoob/three.js/blob/master/examples/jsm/libs/draco/gltf/draco_wasm_wrapper.js

VS Codeのエクスプローラーからは、コピーしたファイルは以下のように見えます。


以上でページを実行すると、以下のように表示されます。


three.jsの例題の実装は以上です。

今のままではLive Serverからファイルを参照しているため、作成したアプリケーションを他の人と共有することができません。すべてのファイルを静的アプリケーション・ファイルとして、APEXにアップロードするとアプリケーションの共有はできますが、アプリケーションの開発効率やデータベースへの負荷を考慮すると、あまり良い方法とは思えません。

現行のバージョンのAPEXは静的アプリケーション・ファイルの保存先および参照先を、オブジェクト・ストレージにすることができます。APEX 23.2で追加された機能で、こちらの記事で紹介しています。


また、静的アプリケーション・ファイルの参照先にCDNを指定するといったことも可能です。


APEXのアプリケーションは全体としてエクスポート/インポートすることになり、一般のソースコードのように差分をマージするといった作業はほぼできませんが、コードを静的アプリケーション・ファイル(または静的ワークスペース・ファイル)としてAPEXの外に出した場合は、通常のファイルとして管理できます。

JavaScriptのコーディングが主になる場合は、コードを記述したファイルをAPEXの外で管理すると、開発効率を上げることができると思います(PL/SQLでもコードをパッケージにまとめると、同様に管理できます)。

今回の記事は以上になります。

静的アプリケーション・ファイルは含んでいないため、ほとんど中身がないAPEXアプリケーションですが、エクスポートを以下に置きました。
https://github.com/ujnak/apexapps/blob/master/exports/three-js-getting-started.zip

Oracle APEXのアプリケーション作成の参考になれば幸いです。