2023年7月27日木曜日

外部からの操作で対話グリッドの行をハイライトさせる

 対話グリッド自体が持つハイライトの設定ではなく、外部からの操作で対話グリッドの行をハイライトさせる方法について調べました。

サンプルの実装では、ボタンにマウスポインタが乗ったときに、ボタンの静的IDに一致している部門の行をハイライトしています。ポインタが外れたときにハイライトを解除します。


以下、実装方法の紹介です。

サンプル・データセットEMP/DEPT英語でインストールして使用します。

アプリケーション作成ウィザードを起動します。名前対話グリッドの行ハイライトとします。

デフォルトで作成されているホーム・ページを削除し、対話グリッドページを追加します。


対話グリッドのページの追加では、編集を許可を選択し、表またはビューEMPを指定します。


以上でアプリケーションを作成します。

アプリケーションが作成されたら、ページ・デザイナで対話グリッドのページを開きます。

対話グリッドをJavaScriptから操作するために、対話グリッドに静的IDを設定します。

詳細静的IDempを設定します。


ボタンを配置するリージョンを作成します。

識別タイトルButtonsタイプ静的コンテンツです。外観テンプレートとして、Buttons Containerを選択します。


作成したリージョンにボタンSALESを作成します。識別ボタン名SALESラベルSalesとします。このボタンの上にマウス・ポインタが乗ったときに、列Departmentの値がSALESである行をハイライトさせます。

レイアウト新規行の開始オフにします。これから作成する他のボタンも同様にオフに設定し、それらのボタンを横並びに配置します。

外観CSSクラスとしてusedForHighlightを設定します。カスタム・イベントのターゲットに使用し、複数のボタンから呼び出される動的アクションを1カ所で定義します。

動作アクションとして動的アクションで定義を選択します。ボタンを押しても何も実行されないようにします。

詳細静的IDとしてSALESを指定します。この値と列Departmentの値の一致を確認します。


同様の設定でボタンRESEARCHOPERATIONSACCOUNTINGを作成します。SALESの部分を置き換えます。


画面上に配置するコンポーネントの作成は以上です。

これから行ハイライトの実装を始めます。

ページ・プロパティJavaScriptファンクションおよびグローバル変数の宣言に以下を記述します。行ハイライトを行なうファンクションapplyHighlightRowsと、行ハイライトを解除するremoveHighlightRowsを含みます。



RecordMetadataのhighlightに設定するクラスは、実際にはTR要素のclass属性に追加されます。背景色の変更に使用するCSSクラスをページ・プロパティCSSインラインで定義します。

TR要素の子要素であるTDの背景色(background-colorの指定)は、CSS変数の--a-gv-background-colorが設定されています。そのため、TR要素でbackground-colorを指定しても、TD要素の--a-gv-background-color(デフォルトは白)が優先されます。

選択した行の背景色を変更するため、TD要素の背景色である--a-gv-background-colorの定義を変更しています。


左ペインで動的アクション・ビューを開きます。カスタム・イベントで実行される動的アクションを作成します。

識別名前マウスポインタが乗ったときとします。イベントタイミングカスタムを選択します。

カスタム・イベントmouseenter(mouseenter自体は標準のブラウザ・イベントです)、選択タイプjQueryセレクタjQueryセレクタとして.usedForHighlightを指定します。


TRUEアクション名前ハイライトの適用アクションとしてJavaScriptコードの実行を選択します。設定コードapplyHighlightRowsの呼び出しを記述します。

applyHighlightRows("emp", this.triggeringElement.id, "DEPTNO", "hlr");


同様に、動的アクションとしてマウスポインタが離れたときを作成します。タイミングカスタム・イベントにmouseenterの代わりにmouseleaveを指定します。


TRUEアクションとしてハイライトの解除を作成します。設定コードremoveHighlightRowsの呼び出しを記述します。

removeHighlightRows("emp");


以上でアプリケーションは完成です。アプリケーションを実行すると、記事の先頭のGIF動画のように動作します。

今回作成したAPEXアプリケーションのエクスポートを以下に置きました。
https://github.com/ujnak/apexapps/blob/master/exports/ig-highlight-rows.zip

Oracle APEXのアプリケーション作成の参考になれば幸いです。