今回の記事では、Oracle APEXのアプリケーションでD3を使ってチャートを描画してみます。テンプレート・コンポーネントの作成はせず(D3によるチャート描画のユースケースで、テンプレート・コンポーネントが必要なケースは無いと思います)、D3のExamplesにあるチャートをいくつか、Oracle APEXのページに実装してみます。
最初にチャート描画に使うJSONデータを保存する表を作成し、その表を元に初期のAPEXアプリケーションを作成します。
SQLワークショップのクイックSQLの以下のモデルより、表EBAJ_D3_GRAPHSを作成します。データの名前となる列NAMEと、JSON形式のデータを保持する列GRAPH_DATAを含みます。
# prefix: ebaj
d3_graphs
name vc80 /nn
graph_data json
レビューおよび実行をクリックします。
表EBAJ_D3_GRAPHSを作成するDDLを確認します。列GRAPH_DATAのデータ型はCLOBになっています。効率の面からいうと、JSONやBLOB型が望ましいのですが、APEXのアプリケーション作成ウィザードはデータ型がCLOBのときはタイプがテキスト領域のページ・アイテムを作成し、BLOBのときはファイル選択のページ・アイテムを作成します。今回の用途ではテキスト領域を作成して欲しいので、CLOBのまま変更しません。
スクリプト名を設定し、実行をクリックします。確認画面が表示されるので、即時実行をクリックします。
表が作成されます。続けてアプリケーションの作成をクリックします。確認画面が表示されるので、再度アプリケーションの作成をクリックします。
アプリケーション作成ウィザードが開きます。名前をIntegrating D3に変更します。デフォルトで表EBAJ_D3_GRAPHSをソースとしたフォーム付き対話モード・レポートのページが作成されます。
アプリケーションの作成をクリックします。
D3のExamplesに含まれるHierarchical edge bundling IIのチャートを、Oracle APEXのページに実装します。
画面右上にある3点アイコンよりメニューを開き、ViewのShow filesを実行します。
Filesのパネルが開き、データファイルであるflare.jsonが含まれていることが確認できます。3点アイコンのボタンをクリックし、Downloadを実行します。
ファイルをダウンロードしたら、作成したAPEXアプリケーションを実行し対話モード・レポートのページを開きます。
作成をクリックします。
Nameにファイル名であるflare.json、Graph Dataにダウンロードしたflare.jsonの内容をコピペします。
作成をクリックします。
対話モード・レポートのページに戻ると、ORA-6502が発生しています。これは、登録したJSONデータが長すぎて対話モード・レポートの1行に表示できる文字数の制限(32k)を超えたために発生しています。
今回はエラーを回避できれば良いので、アクションの列を開き、Graph Dataを表示対象の列から外します。
flare.jsonが登録されていることが確認できます。
チャートのデータを保存できたので、これからチャートを実装します。
空白のページを作成します。名前はHierarchical edge bundling IIとします。
HTMLヘッダーに以下のimportmapを記述します。
<script type="importmap">
{
"imports": {
"d3": "https://cdn.jsdelivr.net/npm/d3/+esm"
}
}
</script>
データベースからJSONデータを取り出す際に呼び出すAjaxコールバックを作成します。
識別の名前はGET_DATA、タイプはコードの実行です。ソースのPL/SQLコードとして以下を記述します。
D3のチャートを描画するリージョンを作成します。
識別の名前はD3、タイプに静的コンテンツとします。ソースのHTMLコードに以下を記述します。ほとんどD3のExamplesそのままですが、書式を素のJavaScriptで動作するように若干の修正を加えています。
以上で実装は完了です。ページを実行すると、以下のようにチャートが表示されます。
作成したページをコピーし、Force-directed graphを実装してみます。
ダウンロードしてデータベースに取り込むファイルはmiserable.jsonです。
ページを実行すると以下のように表示されます。
同様にページをコピーしWorld tourを実装してみます。
ダウンロードしてデータベースの取り込むファイルはcountries-110m.jsonです。
<script type="importmap">
{
"imports": {
"d3": "https://cdn.jsdelivr.net/npm/d3/+esm",
"topojson-client": "https://cdn.jsdelivr.net/npm/topojson-client/+esm"
}
}
</script>
フォーカスが当たっている国の名前を表示するページ・アイテムとして、P6_NAMEを作成しています。